KDS-SD 桑沢デザイン研究所
スペースデザイン

桑沢スペースデザインの血脈 07 ~ 桑沢で、未来のデザインを育む

桑沢学園では、2023年4月より新たに校舎の運用を開始。現校舎からほど近い場所にある地上4F、地下1F の鉄筋コンクリート造の建物を全面的にリノベーションし、現校舎と併用することで教育施設としての機能の充足を図っている。今回新校舎のリノベーションを担当したのは、昼間部スペースデザイン専攻卒業生の志摩 健さんだ。彼自身が学生時代から今まで歩んできた軌跡を振り返りながら、新校舎のリノベーションへの想いや未来のデザインを育む学びの場の姿について語ってもらった。

桑沢学園では、2023年4月より新たに校舎の運用を開始。現校舎からほど近い場所にある地上4F、地下1F の鉄筋コンクリート造の建物を全面的にリノベーションし、現校舎と併用することで教育施設としての機能の充足を図っている。今回新校舎のリノベーションを担当したのは、昼間部スペースデザイン専攻卒業生の志摩 健さんだ。彼自身が学生時代から今まで歩んできた軌跡を振り返りながら、新校舎のリノベーションへの想いや未来のデザインを育む学びの場の姿について語ってもらった。

インタビュアー:大松 俊紀(スペースデザイン分野 責任者)

志摩 健 / Shima Takeshi

1987年、神奈川県横須賀市生まれ。2009年、昼間部総合デザイン科スペースデザイン専攻を卒業し、株式会社We +F Vision(2009 -2011年)、株式会社arflex japan(2011- 2017 年)、株式会社DRAFT(2017-2019 年)へ勤務。2020 年にmoss. を設立し、建築など空間づくりを軸に、苔むすように悠久な時を過ごせる質朴で心地の良いデザイン目指す。2022 年より桑沢デザイン研究所指導教員。

美大にはない密度とスペード感で学ぶ

桑沢在籍時の卒業制作『altera-grada-tion』。誰よりも色々な表現方法を模索した。
DRAFT 在籍時に手がけた、東京にある某大手人材派遣会社の本社オフィス/ © DRAFT Inc.

独立までの道のり

卒業生の視点から新校舎のデザインに込めた思い

日当たりもよく風を感じられる新校舎の4F テラススペース。
木々の奥には丹下健三設計の国立代々木競技場が見える

2F のエレベーターホールから教室を見る
桑沢デザイン研究所の新校舎。1F-3F には各部屋の中間領域としてコモンスペースを設けた。利用する学生同士のコミュニケーションが生まれる空間になっている。

教員としてデザイン教育の場をどう考えるか

「 N House」
東京、馬込に建つヴィンテージマンションの一室のリノベーション。家具メーカーに勤める御夫婦のための家。施主からの要望は、光がよく入ること、リビングを広く取りたい、色を少なくといったシンプルなリクエストをもとに、2LDK だった間取りを、光がふんだんに入る1LDK に。空間を如何に豊かに使うかを考え、4 つの要素(縁側的要素/Compact richness/ 水平窓を生かす/ 陰影礼賛)をデザインへ取り入れた
/ Photo : Koji Fujii | TOREAL / Design : moss.
㊧「Morght」
寝返りを科学し、からだの痛みにアプローチする「NELL マットレス」をブランド展開する株式会社Morght のオフィス兼ショールームのデザイン。ブランドが提案するライフスタイルを体現できるう、‘Abundant Living’=’ 豊潤な生活空間’ というキー
ワードからアプローチ。ひとつひとつの機能が美しいシーンとして点在しながら緩やかにつながる、本質的な豊かさを体感するオフィスリビングになった
/ Photo : Koji Fujii | TOREAL /
Design : moss.

桑沢生に共通する形への探究心

「TENTiE nagoya」
アーティスト活動支援プロジェクト「MUSIC PLANET」やオリジナル・スクールソング制作サービス「スクソン」等を運営し、楽しむ人たちの夢を全力で応援する企業、TENTiE の名古屋オフィス。レンガの集積からなるシンボリックなファニチャーやエレメントと、亜鉛鋼板のパネルやガラス、ミラーなど無機質な素材とのコントラストによって生まれるエネルギーは、力強い植栽や景石たちと交わることで個性を大切にし活力を生み出す企業の姿を体現する
/ Photo : Koji Fujii | TOREAL / Design: moss.
「TERA COFFEE and ROASTER」
東急東横線、妙蓮寺の緑溢れる公園の傍。元々郵便局のあったビルに入るコーヒーロースタリーのショップデザイン。古き良き空間の中で、駆体、焙煎機、内装、什器を’ ブレンド’し、それぞれの素材が持つ良さを’ 抽出’ するように落とし込むことで、真新しさが持つ違和感のない、佇まいを継承するような空間に仕上げた
/ Photo : Akira Nakamura / Design : moss.