KDS-SD 桑沢デザイン研究所
スペースデザイン

Lecture Seriesレクチャーシリーズ

第5回レクチャーシリーズは近藤以久恵さん(建築倉庫ディレクター)のレクチャーでした

12月17日開催の第5回レクチャーシリーズは、寺田倉庫が運営する天王洲アイルのWHAT MUSEUM(https://archi-depot.com)の建築倉庫ディレクター、近藤以久恵氏によるレクチャーでした。

建築倉庫プロジェクトが始まった経緯は、建築模型は設計事務所で数多く作られるものの、スペースの都合上、あまり保管がされていなかったり、海外の美術館などにわたるケースも少なくないため、国内で模型を保管する場所があればということでスタートした活動です。

WHAT MUSEUMは、「倉庫を解放、普段見られないアートを覗き見する」というコンセプトのもと、寺田倉庫が作家やコレクターからお預かりしている建築模型の保管と展示を行っています。また天王洲アイルには、寺田倉庫運営のWHAT CAFEやTERRADA ART COMPLEXといった現代アートを展示・販売する施設があり、天王洲アイルの湾岸エリア全体を建築やアートといった文化的視点で活性化しようと試みています。

近藤氏は、元々建築設計の仕事をしていた経験を生かして、WHAT MUSEUMで行われる建築展示のディレクションを行なっています。

本レクチャーでは、「専門以外の方に向けても建築の魅力を発信したい」という思いのもと行われた様々な切り口の建築展についてお話いただきました。模型を建築文化を伝承するメディアとして光を当て、歴史的分脈の中で模型がどのような役割を担ってきたのかを古墳時代の家形埴輪や現代の構造模型と共に見せる『建築模型展ー文化と思考の変遷』展。建築家と詩人・文芸家のコラボによって新たな建築の魅力を再発見する『謳う建築』展など。また、幼少期から建築への意識を持ってほしいと、子供も参加できるワークショップを開催し、次世代の建築界の芽を育てる活動もされているとのことでした。


後半のディスカッションでは、会場構成はどのようなプロセスで行なっていくかや、準備期間や携わる人数がどれくらいなのか、ポスターデザインについて、今後やりたい展覧会の企画についてなど、展示デザインに関するものや、天王洲エリアの都市に対しての話や地方への参入、現代アートの国内でのムーヴメントの話に至るまで、幅広い質疑に答えていただきました。
日々課題等で建築模型を作っている学生にとって、今後作品の見せ方や保管のあり方に関して再考する貴重な機会となりました。