KDS-SD 桑沢デザイン研究所
スペースデザイン

Lecture Seriesレクチャーシリーズ

第6回レクチャーシリーズはイスナデザイン(建築家・ケンチクイラストレーター)のレクチャーでした

1月14日開催の第6回目のレクチャーシリーズは、イスナデザイン(https://isnadesign.com)の“建築家・ケンチクイラストレーター”野口理沙子氏と一瀬健人氏によるレクチャーでした。

イスナデザインの野口氏と一瀬氏は、「3次元」の建築設計とイラストなどの「2次元」の制作を同時並行することで、”2.5次元のケンチク” を考察し、建築家としての思考をベースに、建築設計・インテリアデザイン・イラスト・立体造形の制作といった、幅広い活動をされています。本レクチャーでは、お二人のキャリアの歩みから、建築事務所で培った経験や感覚を他の分野に応用するようになった思考の変遷や、大切にされているコンセプトである「バラバラ」と「全体」の関係についてお話いただきました。

妙蓮寺の街を描いた「M“O”YOURENJI」では、イラストのタッチやグリッドで全体を統制させつつも、立面図や平面図、パースがかかったイラストなど複数の視点を込めて街を描くことで、断片的な人々の暮らしのシーンにスポットを当てています。本来2次元であるイラストが、この「バラバラ」と「全体」によってじっくり見たくなる奥行きが体現されることで、「2.5次元のケンチク」を感じさせます。

レクチャーの後半では、「渋谷の街」をテーマに紙を使って表現するワークショップが行われました。他の学生が書いたキーワードをもとに自由に紙を切り、一回だけ折ることができるというルールのもと、台紙に各々の「渋谷」を表現しました。イスナデザインの『緊縮ノスタルジア』のイラストが印刷されたものを使用して四人一組のチームで構成された作品は、まさに小さな街のようでした。最後に全員分の作品を並べると、ひとつの都市のようなものが現れ、興味津々で眺めていました。

後半のディスカッションでは、リサーチではどのような視点で街歩きをしているかや、リサーチの街歩きに割く期間についてや、複数の人で一つの作品を作る上で統一感を出すためにどのようなルールを設けているのかなどの質問に答えて頂きました。イラストなどは、一見アウトプットとして現れた形は実際の建築と異なるように見えますが、生み出す際の思考や手法は建築と似ているとのことでした。分野の枠に捉われることなく、思考の根を辿った先にある共通項を見つけ、自由な発想でデザインに生かす姿勢は、学生たちにとって非常に刺激となったことでしょう。