KDS-SD 桑沢デザイン研究所
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夜間レクチャーシリーズ第1回 _ 筧康明さん


夜間レクチャーシリーズ第1回(2023年11月11日18:00-21:10)

ゲスト:筧康明さん(メディア・アーティスト、東京大学大学院情報学環教授)

筧康明さん( https://xlab.iii.u-tokyo.ac.jp/ )は、2007年東京大学大学院学際情報学府博士課程修了。博士(学際情報学)。科学技術振興機構さきがけ研究員、慶應義塾大学環境情報学部専任講師、同学部准教授を経て、2018年4月より東京大学大学院情報学環准教授。2022年4月より教授。主な受賞にACM CHI2017 Best Paper Award、ACM UIST2017 Honorable Mention、平成26年度科学技術分野の文部科学大臣表彰若手科学者賞、2012年度グッドデザインBest100、2005年度東京大学総長賞など。

今回のレクチャーでは、メディア・アーティストという道を選ばれた理由から、今まで手掛けたプロジェクトの紹介などをレクチャーして頂きました。

元々物理に興味があった筧さんは、コンピューターを便利な道具ではなく、人とコンピューターがどう繋がり、どうインタラクションを起こしていくかという方向に興味があり、単なるディスプレイだけではない物質的なものとしてのコンピューターの在り方を模索してきたそうです。そしてその表現の中で、アートという形でコンピューターの新たな可能性を見出し、メディア・アーティストという名で研究をされています。

メディア・アートというもの自体は、1960年代からあり、究極のディスプレイと呼ばれるものなど、コンピューターというものを意識せずにその恩恵を受けるにはどういうデザインが必要なのかが模索されてきたそうで、歴史的に重要な人物や作品を例に挙げながら、メディア・アートの歴史もお話頂きました。

後半の質疑応答では、作品を制作するときの具体的なプロセスのお話もありました。エンジニアリングとアートのそれぞれのプロセスを別々には考えず、融合させたり局所的に切り替えたりし、2つのサイクルの中でステップを進めていく感覚だそうです。

1960年代からのメディア・アート史の中でもお話しされていましたが、「0から全く新しいアイデアや作品を生み出すことは非常に難しい」こと、だからこそ歴史や他人の作品をを振り返り、学び、真似ることが大切だと学生にアドバイスして頂きました。