夜間レクチャーシリーズ3回(2023年11月25日)
ゲスト:隈太一さん(クマタイチ 建築家、隈研吾建築都市設計事務所 / TAILAND)
隈太一さん( https://tailand.jp/ )は、東京理科大学を卒業後、東京大学大学院修士課程で建築を学び、ドイツへ留学。帰国後に東京大学大学院博士課程を修了。SHoP Architects (NY, USA)勤務を経て、2021年に建築の設計から管理、運営までを行うTAILANDを主宰。隈研吾建築都市設計事務所の取締役・パートナーも務めています。
今回のレクチャーでは学生時代の作品からTAILANDでのお仕事の紹介、そして建築に対する考え方についてレクチャーをして頂きました。
元々、大学でデジタルテクノロジーと、関心のあったカーボンフォイバーを用いて構造の研究をしていた隈さんは、素材の持っている性質で、二次元のものが三次元になっていく生き物のようなものができていくことに興味を持ち研究をしていたという。
建築家として活動してからも、「やわい建築」と表現するように、繊維のような膜に興味があった隈さんはMaku railerという膜トレーラーとラジオステーションを掛け合わせた移動式のトレーラーを設計。他にも、自身の趣味でもあるサウナを設計するときは茶室を意識しているという。
シェアハウスを多く設計、運営する隈さんは、シェアハウスと街との接点を積極的に考えるため、1階部分に飲食店を組み合わせることが多いとおっしゃっていた。
後半の質疑応答では、建築が完成して施工写真を撮って終わることに疑問があるとおっしゃっていた。竣工が完成形ではなく、そこに物が入り物事が起こる場所として、ニュートラルのような場所にしようとしていると。物が置かれて、人対人でストーリーが生まれることを前提として、派手でメインになるような建築ではなくてよいと。そのためにも、愛着が湧きやすいような什器をデザインするように心がけているとおっしゃっていた。
建築を設計するだけでも色んな人と関わるけど、建築家だけで考えては良くなくて、広い視野を持つことが面白くて大切だということ、そして自分と違う視点を持つ人との接点を大切にしてほしいということを最後に学生にアドバイスして頂きました。