夜間部1年生の「造形発想」(伊藤邦彦先生)では、ハンド・スカルプチャーという桑沢伝統の課題を行なっています。各学生は木の塊を渡され、「視覚ではなく触覚を頼りに、木の塊を自分の手に心地よい形に仕上げる」という単純かつ奥の深い課題です。
ハンド・スカルプチャーは、ドイツのバウハウスで学んだモホイ・ナジ(1985-1946)が、その後シカゴのニューバウハウス(のちにシカゴデザイン研究所)を設立し、そこで同僚と共に考え出した課題といわれています。
そして、ニューバウハウスでハンド・スカルプチャーを経験した有名な写真家の石元泰博氏が、、帰国後に、桑沢デザイン研究所で教え始め、ハンド・スカルプチャーを導入したと言われています。桑沢デザイン研究所では、設立当初から今でも行われている伝統的な課題です。
手の感覚をもとに造形を生み出すこの課題では、視覚に捉われずにより直感を探求する姿勢が求められます。初期の段階ではありますが、学生それぞれの求める形に向かって必死に取組んでいます。
この課題を通して手と頭を同時に動かしデザインを学んでいく重要性を意識してもらえればと思います。