12月6日(土)に行われたレクチャーシリーズ第3回目のゲストは本校昼間部スペースデザイン専攻の卒業生で映画監督の大美賀均さん(https://hitoshiomika.com/)でした。大美賀さんは桑沢を卒業後、映画監督の方と知り合い、たまたまドライバーとして撮影のお手伝いをしたことがきっかけで映画の世界に入ったといいます。そして、濱口竜介監督の映画『ドライブ・マイ・カー』(原作:村上春樹)で、俳優の経験が全くないのに突然、主演に抜擢されたそうです(「ドライブ・マイ・カー」はカンヌ国際映画祭で日本映画としては史上初となる脚本賞を受賞。その他、数多くの海外の賞を受賞)。
前半は、大美賀さんが監督を務めた短編映画『義父義父』を特別に全編見せていただきました。
「義父義父」 あらすじ
服飾デザイナー・リカ(34)の母は少し前、5度目の再婚をした。「男に経済力は求めていない」が母の口癖だった。ある日、リカは母の再婚相手の双子の兄・豊(65)を紹介される。精神疾患のある妻を持ち、自身も末期癌の豊はリカに養子に来てほしいと言う。 養子として一緒に過ごすうちにリカは2人に家族としての感情を抱き始めるがその矢先、豊が逝く。公式サイト(https://fatherfather.hitoshiomika.com/)より
映画鑑賞後は学生からの映画の感想と質疑応答の時間が設けられました。この映画は実際に主演女優(大美賀さんの知人)の実体験を元に作られており、劇中出てくる義父の家は、知人の実際の義父の家を使って撮影したとのこと。また撮影セットや舞台衣装は桑沢での同級生に協力して準備できたことなど、撮影の裏話もしてくださいました。大美賀さんは映画を作る際、「両義性」を常に意識しているそうで、あるシーンを見てAさんは良いと思っても、Bさんはつまらないと感じるように、人によって全く違う意見があっていいということです。


後半では、学生たちが3人で1グループになって映像ワークショップを2つ行いました。1つ目は、自身のカメラ(スマートフォン)を使い、ワンカットでどんな表現ができるかをグループ内で模索し、発表するという内容です。学生たちは大美賀さんにアドバイスをもらいながら、空間をカメラフレームでどう切り取ると、どんな効果が生まれるのか試行錯誤しました。2つ目は、グループ内でそれぞれ頭の中にある思い出(光景、場所、状況など)を話し合い、実際に教室を出てワンカットで再現して撮影してみるという内容です。出来上がった作品はスクリーンに映し、グループごとの発表と大美賀さんによる講評が行われました。








最後に大美賀さんから今の学生に向けてコメントを頂きました。
「頭の良さ、技術能力など職人的に上手い人は世の中に沢山いますが、桑沢はものを見る角度が他とは違って面白いので、そこを大事にしてほしい。自分も当時学んだ「視点を変えて見る」ことは、今でも実際に力になっているなと感じています。また、桑沢の卒業生は、卒業後に多種多様なことをしている点も、桑沢の面白味であるので、横のつながりは大事にしてほしいです。困った時にいつか誰かが力になってくれるし、自分も力になれると思うので。」(筆者要約)
