夜間部 1年「建築・インテリア史」長坂常氏によるレクチャーが行われました
夜間部1年「建築・インテリア史」(担当:磯達雄先生・鈴木紀慶先生)の7月26日(月)の授業に、スキーマ建築計画代表の長坂常氏がご参加くださいました。商業空間のインテリアや家具・什器デザイン、住宅建築等空間の設計でご活躍されている長坂氏のデザインは、余白を残した仕上げが非常に特徴的です。
前半の長坂氏の手掛けられたお仕事を中心としたレクチャーでは、「作りながら考える」をテーマに、大学卒業後のフリーランスとしての活動から、転機となった代表作Sayama FlatやHAPPA HOTEL、Aesop Aoyama等の空間や家具に至るまで、現場でモノに触れながら感じ、考え、発見したことを応用していく重要性をご指摘されていました。設計がデスクトップの中で完結してしまうことに違和感を持ち、常にモノと場の観察から各プロジェクトのデザインテーマを発見してきた結果が、現在のご活躍に繋がっているのだと感じました。例えば、武蔵野美術大学16号館のプロジェクトでは、建築竣工時をもって完成とするのではなく、利用する学生や教員が日々の「生活」を送ることで、継続的に空間が変容していく、つまり成長し続けるデザインになっているということ。設計前に見た学生たちの制作する作品や環境づくりからヒントを得、彼ら自身が作り込むことができると判断し、「顔のある建築ではなく使い倒せる建築」を目指したというお話が印象的でした。はじめから結果ありきではなく、素材の可能性を徹底的に探求し加工していくことにで出来上がったエレメントに用途与える、といった長坂氏のプロセスには、さすが「素材フェチ」を自称される氏ならではと感心いたしました。長坂氏の事務所の卒業生には大工になった方もいらっしゃるというのも、なるほどと納得できるご講話でした。
後半の鈴木先生とのディスカッションでは、夜間部1年生に加え昼間部2年生も参加し、年齢や所属の垣根を超え、素朴な疑問から社会経験のある学生の実践的な質疑まで飛び交う白熱した議論となりました。
今回、長坂氏にご参加いただいたことで、桑沢でも大切にしている基礎・基本「作りながら考える」を実践することについて、より具体的で明確なイメージを学生たちは持つことができたと思います。