1月31日(月)6、7限目に、夜間部2年生の「エレメントデザインC」(担当:篠崎隆先生)、「インテリアデザインC」(担当:久山幸成先生)、「住環境デザインC」(担当:押尾章治先生)の最終合同講評会が行われ、ゲスト講評者として建築家の針谷將史さん(https://masafumiharigai.jp/)とSD分野責任者の大松俊紀先生にも参加して頂きました。
それぞれの授業において、11月半ばから卒業制作を開始しており、今回の講評会は、2月末に行われる卒業生作品展への出品作品を選抜する重要な講評会でした。
また、今年度1年生からのカリキュラム変更により、独立した「エレメントデザイン」の授業は今年度2年生で最後となりました(新カリキュラムでは、「住空間」と「商空間」それぞれの授業において、空間におけるエレメント的な考え方を学びます)。
今年度の各卒業制作のテーマは以下となっております(各担当講師のテーマ文より抜粋);
——————————————————————————————————-
「エレメントデザインC」テーマ: Three (Is A Magic Number) 〜『3』に触発されたエレメント〜
アメリカの音楽家、ボブ・ダラー(Bob Dorough, 1923–2018)による『Three Is A Magic Number』という曲がある。1970年代のアメリカで子供向けテレビ番組『Schoolhouse Rock!』のためにつくられた、『3』という数をめぐる示唆的なことばの連なりと魔法の呪文のような3の段のかけ算がひとつの唄となっている可愛らしい作品だ。あわせてつくられたアニメーションも音と映像がお互い追いかけっこをするかのようで楽しく、当時の子供たちはすぐに3のかけ算を覚えただろう。
YouTube https://youtu.be/aU4pyiB-kq0
日本でも『3』という数はマジック・ナンバーである。芸事や空間に関する三つのことばの組合せに限っても、『真行草』、『守破離』、『序破急』、など、例を挙げれば枚挙に暇がない。『1』のように孤独ではなく、『2』のように対立したり、つながりが強すぎて他の侵入を許さないということもない。なにかが成長したり、広がったりしていくことを予感させもする。『3』という数を想いながらデザインされたエレメントが、どのようなマジカルなモーメントを纏うのか。学生最後の作品ではなく、デザイナーのはじまりとしての卒業制作をみせて欲しい。
——————————————————————————————————-
「インテリアデザインC」テーマ:BEAUTIFUL LIFE IN SHIBUYA
2020年、新型コロナウィルス感染症が都市の様相を一変させるほど私達が想像もしなかった日常をもたらしました。そして現在においてはウィズコロナ、アフターコロナの新しい未来が動き出しています。ウィズコロナの生活を通して私達は、人間が本当に心地よいと思える空間、本当に過ごしたいと思っていた時間、本当に必要とされる価値について考えさせられることになりました。そしてわたしたちはそれをアフターコロナの未来に描いていくこと段階になっているのだと考えます。
この課題では渋谷のどこかでわたしたちが生きる空間を提案します。住宅をデザインするのではなく、渋谷の時間を生きる空間です。それはこれまで〇〇(例えば店舗・オフィス・ホテル、)と呼ばれていた空間かもしれません。これから先の未来を生きる空間で渋谷の未来を描き出してみたいと思います。
規模は自由としますが、インテリアの模型表現が可能な規模で考えること。
内部空間を中心に外観や外部空間との関係をデザインすることも可とします。
渋谷が好きなひとはもっと好きに、あまり好きではない人には新しい魅力を発見し、それを伝えるものになるような楽しく力強く生きることをイメージし、空間をデザインしてください。
——————————————————————————————————-
「住環境デザインC」テーマ:地域と相関する生活のかたち
「地域」という言葉の意味は多岐に渡ります。街並みの特徴や近くの商店街などの状況、周辺の住人やその賑わいや喧噪のこと。風や緑などの自然環境的なものから、道路や交通状況のような社会環境まであります。「地域」とは、そうした物理的、人為的、環境的なことがらの総称であるので、様々な要素をはらむのです。時には気持ちよく、時には煩わしく、役に立ったり問題になったりすることもあります。都市空間のデザインにおいては、そうした様々な状況を前向きに捉えて、敷地内の計画と相関する「かたち」を見つけ「地域」をさらに盛り上げていくことがとても大切なのです。
敷地は、世田谷の北沢川緑道沿いに計画します。緑道周辺の住人やその日常生活に目を向け、地域の特性に配慮した併用住宅(公共的な施設を含む)の設計を目指します。
併設する公共的な施設としては、カフェやギャラリーなどの商業なものでも、学童保育や託児施設などの地域な施設でも構いません。学生各自が、「地域」の公共性に役立つアイディアやストーリーを考えて設定するものとします。
——————————————————————————————————-
2月25〜27日の3日間、桑沢デザイン研究所で開催される卒業生作品展の情報は以下のサイトをご覧ください(観覧には事前予約が必要となっておりますので、ご注意ください)。