8月5日(月)6、7限目に夜間部2年生の「住空間A」(担当:大松俊紀先生)の最終講評会が行われ、ゲストに塩崎太伸さん(建築家、アトリエコ 株式会社)、押尾章治さん(建築家、隈研吾建築都市設計事務所、本校非常勤講師)に来て頂きました。
課題内容は、建築家・篠原一男が設計した軽井沢の「土間の家」の敷地内に、施主のための新たな住宅を設計するというものです。「土間の家」は、篠原一男が設計した「上原通りの住宅」(1976)の施主でもある写真家・大辻清司氏が所有する軽井沢の別荘として1963年に篠原一男が設計したものです。この課題では、「施主の長女家族3人が、敷地内に新たな家を建てる」という仕事を大松先生が依頼された実話を元に課題の設計条件が構成されています(残念ながら、大松先生の設計案は実現しませんでしたが、その後、夜間部で13年間続く課題となっています)。
篠原一男がその昔、桑沢デザイン研究所でも教鞭を取っており、同時期に桑沢で教鞭を取っていた大辻清司氏をはじめ、様々な芸術家が篠原一男の施主になっていきました。そういった経緯もあり、大辻家と大松先生との親交が深まり設計を依頼されたと聞きます。
課題のプロセスにおいては、レクチャーや小課題を通じて、「柱」の意味を掘り下げたり、篠原一男の第1の様式から第4の様式に至るまでの過程を分析するなど、戦後日本の住宅設計に多大なる影響を与え現在でも国内外で評価され続けている篠原一男の設計思想を学びながら、最終的に、自分の住宅設計思想を築く課題です。