12月14日(土)18時30分から行われた今年度4回目のゲストは、フラワーアーティストの塚田有一さんでした。当日は、塚田さんと現在一緒に仕事をされている建築家で本校非常勤講師の比護結子先生にも参加して頂きました。
レクチャーの前に行われたのが、生花のデモンストレーションでした。学生は初めて生で見る生花の迫力に驚きながらも無言のまま見入っている様子でした。
次に行われたレクチャーの前半では、塚田さんが考えるランドスケープデザインの考え方をお話いただきました。
建築を一つの「山」と見立て、その東西南北、さらには都市的な状況を考慮しながら緑や植栽を計画すること。塚田さんの自然と調和した空間を生み出すそのアプローチは、深い哲学と文化的洞察に根ざしています。また、塚田さんのデザインの核には、「さにわ」という概念があります。これは、空間と自然、文化を繋ぐ媒介者としての役割を担う考え方です。自然物である植物を扱う中で、自身を過剰に表現するのではなく、文化や自然の流れの一部として共に形を作ることを重視しています。
後半のレクチャーでは学生から質疑応答を中心に、講師陣と学生との対話が行われました。
学生からは「自分が設計を行なっていない建築の敷地内に植栽を考える際はどうしているか?」という質問がありました。塚田さんは自ら設計していない空間の緑を考える際に重視しているのが、「共話」という考え方で、共話とは向かい合って何かを話すのではなく、同じものを共に作るための感覚を共有すること。相手と「共話」することで空間の目的や性質に合わせた自然の表現を追求しているとのことでした。
塚田さんのデザイン哲学は、単なる緑化ではなく、空間と自然、文化を深く結びつけるもので、植物という変化し続ける存在を通じて、空間に新たな価値を創出し、人々の心を癒し、つなぐ。そのプロセスのお話を伺えたことは学生のこれからの空間デザインの可能性を大きく広げるものだと感じました。






