KDS-SD 桑沢デザイン研究所
スペースデザイン

Spotlight注目の授業

昼2年「住環境デザインⅡA」の最終講評会が行われました

7月28日(金)3、4限目に、昼間部2年生「住環境デザインⅡA」(伊藤寛先生)の最終講評会が行われ、ゲストに建築家・建築倉庫ディレクターの近藤 以久恵さん( https://archi-depot.com/ )、そして丸山弾 – スタジオの建築家・丸山 弾さん( https://www.dan-maruyama.com/ )にお越し頂きました。

全員で見学しに行ったル・コルビュジェ設計の国立西洋美術館とミース・ファン・デル・ローエ設計のバルセロナ・パヴィリオンの空間的回遊性の分析から始まり、伊藤先生のご自宅兼アトリエの見学をはじめ、様々な準備課題を行ってきました。そして最後の設計課題としては、「仕切らない家・開いた家 + 街の人を繋ぐ仕掛け」というタイトルで、墨田区東向島のある敷地に住宅を設計するというものでした。

(以下、課題文より)

この課題は、家の設計を通して1人の人間が快適だと感じる空間をつくることだけに留まらず、家族という最小の社会で、あるいは近隣を含めたもう少し大きな社会の中で、良好な人の関係を生み出すための仕掛けを考えることにある。

敷地は、鐘ヶ淵駅の北側の商店街の一角に位置する。鐘ヶ淵、向島、京島エリア一体は空襲の被害を免れ、江戸町家の形式を引き継ぐ、近隣との濃密なつきあい方が今に残る界隈である。古い家屋と町工場が混在する東京下町の街並みが色濃く残るこの地域は、一方でハウスメーカーによって敷地が細分化され、これまでとはまったく違う、周囲に「閉じた家」が急速に建てられつつある。そうした現状をふまえ、この地に今日の「仕切らない家・開いた家」をつくってもらいたい。加えて住宅的な機能だけに留まらない「街の人を繋ぐ仕掛け」を同じ敷地に計画して欲しい。

学生にとっては今回が初めての住宅設計課題でしたが、敷地見学において地域住民と交流するなどして、学生一人一人が課題の主旨と真摯に向き合い作品を制作していました。

最終講評会では、「街にどのように開くか/関わるか」というテーマと、変形した敷地に対する建築空間の造形力のバランスが講評の焦点となりましたが、まだまだそのバランスが難しかったようです。

後期の住宅設計課題では、住宅建築というものを、より哲学的に捉え設計する課題となります。今後の学生の成長を期待しています。