平岩さんは、東京大学大学院工学系研究科建築学専攻修士課程修了後、佐々木睦朗構造計画研究所にて勤務。2017年に平岩構造計画を設立。主な作品に、松原児童青少年交流センターmiraton、2022年(設計:御手洗龍建築設計事務所)、山形市南部児童遊戯施設シェルターインクルーシブプレイス コパル、2023年(設計:大西麻貴+百田有希 / o+h、日本建築学会賞)などがあり、2023年には第18回日本構造デザイン賞を受賞されている。
今回のレクチャーでは、前半は平岩さんが今まで構造家として関わってきた作品をもとに構造の考え方をレクチャーして頂き、後半は構造模型を制作するワークショップを行いました。
初めに、構造設計への理解を深める例題として「小梁の入れ方」についてのお話がありました。構造設計に正解はないが、小梁の入れ方ひとつで最終的なデザインが大きく変わってくることが構造設計の大きな魅力と解説してくれました。
実例では4つの作品を紹介して頂き、『始まりの屋根』=「足りないものを何かで補う、1つに2つの役割」、『鐘撞堂』=「不安定も悪くない」、『Grove』=「ものすごく普通をちょっと変える」、『シェルターインクルーシブプレイス コパル』=「一手で一気に解く」と、それぞれの作品に柔軟な考え方によるテーマがあることを教えて頂き、いわゆる建築の構造設計の印象が変わるようなレクチャーであった。
後半のワークショップでは、学生は4人一組のグループに分かれて、マシュマロとパスタで構造体を制作する「マシュマロチャレンジ」を行いました。「マシュマロチャレンジ」では、出来るだけ高いタワーを製作する「パスタワー」と、出来るだけスパンを飛ばせる橋のような構造体を制作する「パスタブリッジ」を行いました。このワークショップは、骨組の構造に作用する力について理解を深めるためのものでもありましたが、何より学生がワイワイと楽しんで制作してくれていたことが印象的でした。
最後に平岩さんは学生に向けて、「100人の内一人しか出来ないようなことを追求するのではなく、10人の内一人しか出来ないような能力を2つ持つと、1/10 x 1/10で1/100になり、100人の内一人しか出来ない能力以上の強みを出せるし、楽しく仕事ができるということを知って欲しい」とアドバイスして頂きました。